逆流する進化 分化する種子 すすり泣く雨の中 虹色の蜘蛛は 光の網を綴れ織る まばたきのうちに 景色は変わり 振り向くと 無数の眼が閉じる 混沌の手の中へ 母なる螺旋へ 影に包まれた 影のない部屋で 見失った自分を探し求め 自分の声に呼び戻される 虚空に浮かぶ鏡は 実在の中の不在を映し 顕在への扉をしめす 幸福の片隅で泣き 悲しみの中で安堵する 等質の海は 伝承の空に続き すべてを知りすぎた 年老いた私は すべてを知りたがる 胎児の私を 人知れず葬ろうとする 究極の混沌 空虚なる螺旋 愛情と憎悪 嫉妬といらだちが 遅すぎた悔悟の内に 悲鳴をあげる意識をも 飲みこんでいく #
by snake10244
| 2006-11-24 19:29
| 久遠の夜果てる時
そして 光が押し寄せる そして 闇がさらに深まる すべての記憶 すべての未来 かくも長き 血と誇りに彩られた日々 人は誰もが 恐怖を内にかくして 愛と憎しみを受け入れる 究極の1は無数に広がり もっとも多い数となる 灼熱の回廊で 実在と不在が 陽炎のように揺らめきながら 無言の問答を繰り返す そして 時間が色彩をもつ そして 空間が分化する 相対する虚空のはざまに 哀しみをまとって踊る 顔を無くしたダンサー 「愛しています」 なんて うつろな言葉 #
by snake10244
| 2006-11-19 20:23
| 久遠の夜果てる時
あてのない旅に はじき飛ばされた 意識だけの生き物 時流の山脈 暗夜の海峡 見放された死への 憧憬は雪のごとく降る 安息を握りつぶした沈黙は 心に深い風穴をうがつ 文明の小さな繁栄と 時間の小さな崩壊 愛の大きな包容と 優しさの崩壊 一夜の幻想 胎児の見た夢 使い古された祈りの言葉は 果てへ 果てへ 流れて 流されて 耐えがたき重圧が積もるなか 響きわたる哄笑は 闇に火をともし またたくまに 炎の十字が浮かび上がる 吼える炎は 凍りついた混乱と 眠れる混沌を 無限の鎖から解き放つ 風の牙が舞い 閉ざされていた 叫びと嗚咽が 鮮やかによみがえる 血を吸いつくしたよいな炎 光を吸いつくすような巨大十字 それが 虚空の門 すべてが存在し すべてが形を失う あらゆるものが混沌へと戻り あらゆるものが混沌より生まれる 暗黒のいざない 門の呼び声 #
by snake10244
| 2006-11-19 20:11
| 久遠の夜果てる時
大地なき空間 消え去った時間 絶対の孤独は 心を蝕み腐らせる 広すぎる空 何も見えず 何も聞こえず 何ひとつ触れるものもない 悪意のどよめき 死者の残映 記憶という遺産は しのびよる寒さと 明日への手段が 残されていないことを教える 愛が青く腐敗した世界で つかの間の安息を求めるとき 銀色の箱など 始めから不必要 雨にうたれながら この胸は血を流す したたる水滴に 100の生命を 我を救いたまえ 通り過ぎた道を清め 再びの生命を与えたまえ #
by snake10244
| 2006-11-19 19:50
| 久遠の夜果てる時
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